SEOは「検索エンジンからの流入を増やすための技術」ですが、その本質は 事業成長のための手段 にあります。そのため、SEOに取り組む際には、まず 「何のためにSEOを行うのか?」 という目的を明確にすることが極めて重要です。
本記事では、SEOの目的を「売上げ向上」と「認知拡大」の2つに分類し、それぞれの目的に適した戦略やキーワード設計の方向性を解説します。SEOを成果に結び付けるための「戦略設計の出発点」を一緒に確認していきましょう。
1. SEOに取り組む5つのステップとは?
SEOは単なるテクニックの集まりではありません。計画的にステップを踏むことで初めて効果を発揮します。基本的なフローは次の5段階に整理されます。
- 目的を定める(本記事で解説)
- キーワード戦略を設計する
- SEO施策を策定する
- 施策を実行に移す
- 数値モニタリングと改善サイクルを回す
最初のステップ「目的設定」が明確でないと、以降のすべてがブレてしまい、SEOの投資対効果が最大化されません。
2. SEOの目的は主に「売上げ向上」と「認知拡大」
SEOは、「検索エンジン経由のアクセス」を得るための技術ですが、その先には必ず 事業価値の創出 があります。代表的な目的は以下の2つです。
● 売上げを増やしたい
BtoBでもBtoCでも、売上増加は多くの企業が目指す目標です。SEOで売上を上げるためには、次のような形で目的をブレイクダウンして考えます。
▼ ケース別の目的例
- BtoB企業:営業に渡せる「見込み客(リード)」を増やしたい
- ECサイト:購入数や購入単価を増やしたい
- 広告収益モデル:PV数を増やして広告単価を上げたい
▼ 成果に直結するKPI:CVR(コンバージョン率)
SEOキーワードは「検索ボリュームが大きい=成果が出る」とは限りません。1万セッションを生むキーワードでも、CVRが0.01%ならコンバージョンは1件。一方、100セッションでもCVRが5%なら5件の成果が出ます。
つまり、事業にとっての成果(コンバージョン)に直結するキーワード を選定することが鍵になります。
● 認知を拡大したい
もう一つの主要目的が ブランドやサービスの認知向上 です。SEOを使って、自社やサービスを特定の領域で「認知される存在」に育てたい場合も多いでしょう。
▼ 認知の範囲を明確にする
- 「SEOといえば○○」と認知されたい
- 「デジタルマーケティングといえば○○」と想起されたい
このように、誰に・どのように認知されたいか を具体化することで、狙うべきキーワードの軸や記事の方向性が見えてきます。
▼ 例:SEO領域のブランディング
認知したい層 | 戦略内容 |
---|---|
SEO担当者 | SEO専門用語や事例解説記事を量産し、専門性の高さを伝える |
マーケ責任者 | デジタル全般の記事で幅広い知見を伝え、トータル支援可能性を訴求 |
3. 目的によってキーワード戦略はどう変わる?
目的が「売上向上」か「認知拡大」かによって、狙うべきキーワードが変わります。以下に違いを整理してみましょう。
項目 | 売上向上を目指すSEO | 認知拡大を目指すSEO |
---|---|---|
メインKPI | コンバージョン数(リード・売上など) | 検索ボリューム、ブランド指名検索の増加 |
ターゲット層 | 購買検討層・比較検討層 | 認知獲得層・情報収集段階の層 |
選定キーワード | 商標キーワード、比較系KW、購入意図KW | 課題系KW、情報探索系KW、ブランド名KW |
コンテンツ形式 | ランディングページ、導線設計重視 | ハウツー記事、事例紹介、コラムなど |
4. サイトタイプ別:目的設定の具体例
どんなWebサイトにも「何のために運営しているか」という目的が存在します。以下の表は、目的設定をサイトタイプ別に整理したものです。
サイトタイプ | 目的の例 |
---|---|
記事型メディア | 記事閲覧数を増やして広告収益を上げたい |
アフィリエイトメディア | 商品購入数を増やして成果報酬を上げたい |
ECサイト | サイト経由の購入数を増やしたい |
求人ポータルサイト | 求人応募数を増やしたい |
BtoB型サービスサイト | 営業に渡せるリードを増やしたい |
SaaSプロダクトサイト | 無料トライアル登録を増やしたい |
店舗型サービスサイト | 来店数を増やしたい、地元での認知度を高めたい |
CGM(口コミ)サイト | 投稿・会員登録を増やして活性化させたい |
多言語サイト | 海外ユーザーからのアクセス・コンバージョンを増やしたい |
5. 「目的」の言語化でSEOチームの解像度を高める
SEOは「チームプレイ」であり、目的が曖昧なままでは戦術や施策の解釈がバラバラになってしまいます。そのため、以下のように 誰が見ても解釈にズレが出ないレベルまで目的を言語化 することが求められます。
● 言語化の例
- ✕「とりあえずSEOやりたい」
- ○「リード獲得を増やしたいので、BtoBサービスの比較系KWで上位表示を狙いたい」
このように、事業の目的→SEOの役割→KPI の流れを明確に定義することで、SEOの効果も、施策の優先度も、チームの納得感も格段に高まります。
まとめ:「目的」からすべてが始まるSEO戦略設計
SEOは「アクセスを集めるための技術」ではなく、「ビジネスゴールを達成するための戦略」です。その第一歩が “目的の言語化” であり、それに応じてすべての施策が決定されます。
今すぐ始めるべきアクション:
- SEOを通じて「何を達成したいのか」を明文化する
- KPIと結び付けた目標を設定する
- チーム全体で共通認識を持つ
この基本をしっかりと固めることで、SEO戦略の設計から運用までがスムーズに回り、成果にも直結します。
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